骨は何歳からでも応えてくれる――骨を強くする運動の話
「骨密度が低めですね」。健診や病院でそう言われて、気になりながらもそのままになっている方は多いのではないでしょうか。「年だから仕方ない」「牛乳を飲むくらいしか思いつかない」と。
たしかに骨は、年齢とともに、特に女性は閉経後にぐっと弱くなりやすいことがわかっています。骨がもろくなると、ちょっとした転倒で骨折し、それが寝たきりのきっかけになることも。骨は静かに、けれど確実に、老後の自由を左右します。転んでも折れにくい骨は、それだけで大きな財産です。
でも、あきらめるのはまだ早いのです。骨には、何歳になっても刺激に応えようとする性質が残っています。今回は、骨が強くなる仕組みと、台所でできる骨の運動のお話です。
骨は「石」ではなく、毎日作り替えられている
骨というと、一度できあがったら変わらない石の柱のように思われがちです。実際はまったく違います。骨の中では、古い骨を壊す細胞と、新しい骨を作る細胞が休みなく働いていて、骨は数年がかりで全身まるごと作り替えられています。いわば、住みながら少しずつ建て替えを続けている家のようなものです。
若い頃は「作る」が「壊す」を上回り、骨は丈夫になっていきます。年齢を重ねると形勢が逆転し、壊すほうが優勢に。これが骨密度の低下、進めば骨粗しょう症(こつそしょうしょう=骨がスカスカになり折れやすくなる状態)です。
ここで大事なのは、何歳になっても「作る細胞」は現場にいる、ということ。問題は、その職人さんたちに仕事の指示が届いていないことなのです。
骨への「指示書」は、重力と筋肉の引っ張る力
では、骨を作る細胞への指示は何か。それが物理的な刺激です。骨に体重がかかる(重力)、筋肉が縮んで骨を引っ張る——こうした力を感じ取ると、骨は「ここを補強せよ」という指示書を受け取り、その場所を強くしようとします。
宇宙飛行士が無重力で数か月過ごすと骨が著しく弱るのは、この指示が途絶えるからです。逆に、地上で足腰に適度な衝撃を与える運動——歩く、階段を下りる、軽くジャンプする——は、骨にとって何よりのごちそうになります。プールの中の運動は関節にやさしい反面、骨への刺激という点では物足りない。骨にはやはり「自分の体重を支える運動」が効くのです。
そしてもうひとつ。筋肉を鍛えることは、骨を引っ張る力を育てることでもあります。筋トレは筋肉と骨、二つの貯金を同時に積み立てる運動なのです。転倒予防(転倒予防の回)とあわせて考えると、効果は二重になります。
自宅でできること:台所でできる「かかと落とし」
- 台所の流し台や安定した椅子の背に、両手を軽く添えて立ちます。足は腰幅に開きます。
- ゆっくりとかかとを上げ、つま先立ちになります。ふくらはぎに力が入るのを感じましょう。
- すとん、とかかとを床に落とします。このときの「響き」が、かかとから背骨へ伝わる骨への指示書です。ひざは軽くゆるめておくと衝撃がやわらぎます。
- 10回を1セットとして、朝・昼・晩の1日3セット。食器を洗うついで、お湯を沸かす待ち時間など、生活に貼り付けると続けやすくなります。
ポイントは「毎日少しずつ」。骨の建て替え工事は一夜では進まないかわりに、こつこつ続けた分だけ着実に進む工事です。
Move fit 戸畑でできること
Move fit 戸畑では、理学療法士が筋力・バランス・歩き方を評価し、骨に適切な刺激が入る運動を、関節に痛みのある方にはその方に合う形に調整しながらご提案します。ひざや腰が心配な方は、リフォーマーというマシンで負荷を細かく調整しながら、安全に足腰へ刺激を入れることもできます。
骨は応えてくれるまでに数か月単位の時間がかかります。だからこそ、週1回でも「続く仕組み」と一緒に始めることが大切です。評価つきのジム体験は600円、65歳以上の方は毎週火曜13:00〜13:40の体操教室(体験600円)もどうぞ。10年後も自分の足で歩くための貯金、今日から始めませんか。