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COLUMN #10 | 理学療法

「最近よくつまずく」は身体からのサイン――今日から始める転倒予防

2026年7月3日 | 執筆:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師)| Move fit 戸畑(北九州市戸畑区)
「最近よくつまずく」は身体からのサイン――今日から始める転倒予防

「何もないところでつまずいた」「最近、段差がこわい」。笑い話にされがちですが、これは身体が出している大事なサインです。

転倒は、骨折からそのまま動けなくなる入り口になることもある、シニア世代の大敵。でも、原因を知って備えれば、リスクはぐっと下げられます。

つまずきの原因は「脚の筋力」だけじゃない

「脚が弱ったから」と一言で片づけられがちですが、実際に評価すると原因はもっと細かく分かれます。

代表的なのは、①つま先を上げる足首の筋肉の衰え、②片脚立ちを支えるお尻の横の筋肉(中殿筋)の衰え、③足指が地面をつかむ力の低下、④バランス反応の遅れ。歩くとは「片脚立ちの連続」なので、特に②が弱ると身体が左右に揺れ、わずかな段差を拾えなくなります。

「ながら」に弱くなるのも要注意

もう一つ大事なのが、考えごとをしながら歩くと足が止まる・ふらつくという変化。歩くことに脳の容量が多く必要になっているサインで、転倒リスクの目安として国際的にも使われています。

「会話しながらの散歩でテンポが落ちる」と感じたら、筋力だけでなくバランスの練習も取り入れどきです。

なぜ、外より「家の中」でつまずくのか

つまずいた話を伺うと、意外なほど自宅の中が多いのです。外の階段や坂ではなく、廊下、寝室、玄関、台所。理由はいくつもあります。

ひとつは、家の中では足を上げる必要がないと身体が判断していること。歩幅も歩く速さも落ちるので、脚の振り出しが小さくなります。もうひとつは、片手が塞がっている場面が多いこと。洗濯物、やかん、洗面器を持って歩けば、バランスを立て直すための腕が使えません。さらに、暗さ。夜中にトイレへ立つときは、明るさも足りず、身体もまだ目覚めていません。

そして家の中には、外にはない小さな段差が並んでいます。敷居、コード、カーペットの縁、めくれたマット、脱ぎっぱなしのスリッパ。ほんの1〜2cmでも、足の振り出しが小さければ十分ひっかかります。

いちばんの落とし穴は「足が上がっているつもり」

私が評価の場でいちばんよく出会うのが、これです。ご本人はしっかり足を上げているつもりで、実際にはつま先が数センチしか上がっていない。歩き方を録画してお見せすると、たいてい驚かれます。

これは注意力の問題ではありません。人は自分の脚の位置を、目ではなく関節や筋肉からの感覚でつかんでいます。この感覚は年齢とともに、また運動から遠ざかるほどぼんやりしてきます。「上げているつもり」と「実際に上がっている高さ」の差が広がるほど、つまずきは起こりやすくなると私は考えています。

だから「今度から気をつけよう」だけでは、なかなか変わりません。気をつけなくても足が上がる状態に、身体のほうを戻していく必要があります。

今日からできる確認:家と身体を1つずつ

大がかりなことはしなくて大丈夫です。まず、この2つを確かめてみてください。

①家の確認(5分)——寝室からトイレまでを、実際に歩いてみます。足元にコードやマットの縁はないか。夜、足元が見える明るさはあるか。手をつける場所が途中にあるか。気になった場所を1つだけ片づける。これだけで、夜中の一歩がだいぶ変わります。

②身体の確認(1分)——椅子に浅く座り、腕を組んだまま立ち上がって、座る。これを10回くり返します。途中で手をつきたくなる、左右にお尻が流れる、最後の2〜3回でぐらつく。どれかがあれば、立ち上がりを支える筋肉が疲れやすくなっているサインです。ふらつく方は、手をつける場所のそばで行ってください。

自宅でできること:つかまり「片脚立ち」

  1. テーブルや手すりのそばに立ち、いつでもつかまれるよう手を浮かせます。
  2. 片脚を床から5cmほど上げて、30秒キープを目標に。
  3. 左右2回ずつ、1日2セット。ふらつく方は指1本で支えてOK。

「左右どちらかだけ極端にふらつく」場合は、弱っている側のサイン。覚えておいて、体験時にぜひ教えてください。

自宅でできること:つま先上げと「かかと歩き」

片脚立ちに加えて、つま先を上げる力そのものを起こす運動を1つ。

  1. 椅子に深く座り、かかとを床につけたまま、両方のつま先をゆっくり上げます。
  2. 上げきったところで2秒止めて、ゆっくり下ろす。20回。
  3. 慣れてきたら、壁に手を添えてかかとだけで10歩歩いてみます(つま先は床につけない)。

すね(脛)の前側が張ってくれば効いています。テレビを見ながらでできるので、続けやすい運動です。

足元の環境も、運動と同じくらい大事です

運動の話をしてきましたが、履き物を変えるだけで足の運びが変わる方もいます。かかとが覆われていないサンダル、底がすり減った靴、大きすぎるスリッパは、脱げないように無意識に指へ力を入れて歩くことになり、足の運びが小さくなります。

家の中でよくつまずく方は、かかとのあるルームシューズを試してみてください。滑り止めのついたものだと、なお安心です。

Move fit 戸畑でできること

Move fit 戸畑では、65歳以上の方向けの体操教室(毎週火曜13:00〜13:40・体験600円)で、バランスと筋力をまとめて楽しく鍛えられます。「腰や膝が痛くて運動が不安」という方には、理学療法士が個別に評価したうえで安全なメニューをご提案。ご家族の「うちの親、最近あぶなっかしくて」というご相談も歓迎です。

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この記事は7月3日に公開予定です。

公開までもう少しお待ちください。ほかのコラムはこちらからご覧いただけます。

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