寒い朝の身体は硬い――冬の転倒に気をつけて
寒い朝、布団から出てすぐ、足がもつれそうになってヒヤッとしたことはありませんか。あるいは、ゴミ出しに出た玄関先で、思いがけず足元がすべったことは。
実は、転倒は冬に増えることが知られています。夏には何でもなかった段差や廊下で、冬だけつまずく。それには、寒い季節ならではのはっきりした理由があります。
今日は、冬の身体に何が起きているのかと、朝いちばんの転倒を防ぐ「布団の中の準備体操」をご紹介します。
冷えた筋肉は、冷えたバターのように硬い
冷蔵庫から出したばかりのバターが硬くて塗れないように、冷えた筋肉もこわばって、すっと伸び縮みしてくれません。寒いと血管が縮んで血のめぐりが落ち、筋肉は温まるまで本来の力を出せないのです。ふくらはぎや太ももがこわばると、足首や膝の動きまで小さくなります。
特に朝は、一日のうちで身体がいちばん硬い時間帯。寝ている間は筋肉も関節もほとんど動いていないうえ、明け方は気温も底になります。「目は覚めたが、身体はまだ起きていない」——この時間帯に急に立ち上がったり、小走りで電話に出たりするのが、冬の転倒のよくある場面です。
身体が硬いと、歩幅が狭くなり、つまずいたときの「とっさの一歩」も遅れます。若い頃なら踏みとどまれた場面で踏みとどまれない——冬の転倒は、この小さな遅れの積み重ねで起きるのです。
冬は「転びやすい条件」が重なる季節
寒さによるこわばりに加えて、冬には転びやすい条件がいくつも重なります。
まず厚着です。重ね着やぶ厚いコートは身体を温めてくれる一方、腕や脚の動きを妨げ、とっさのバランス立て直しを鈍らせます。次に、寒くてポケットに手を入れて歩くこと。手は転びそうなときの大事なバランス取り役ですから、ポケットの中では仕事ができません。
そして路面です。北九州でも、冷え込んだ朝は橋の上や日陰、玄関先のタイルがうっすら凍ることがあります。見た目は濡れているだけに見えるのがやっかいなところ。さらに冬は日の出が遅く、朝のゴミ出しや新聞取りの時間帯がまだ薄暗いことも、足元の危険を見えにくくします。
もうひとつ見落とされがちなのが、こたつや暖房の効いた部屋から急に立ち上がったときの立ちくらみです。温まって血管が広がっているところへ急に立つと、血圧が一瞬下がってふらっとすることがあります。立ち上がりは「ゆっくり、ひと呼吸おいて」を合言葉にしてください。転倒予防の基本は転倒予防の回でもお話ししましたが、冬はそこに「寒さ・厚着・凍結・暗さ」が上乗せされると覚えておいてください。
自宅でできること:布団の中の「目覚まし体操」
朝の転倒を防ぐ一番の工夫は、布団から出る前に身体を少し温めておくことです。起き上がる前の2〜3分でできます。
- あおむけのまま、足首を大きくぐるぐる回します。左右それぞれ10回。
- 手と足の指で、グー・パーをゆっくり10回。指先まで血をめぐらせます。
- 両膝を立てて、膝を左右にゆらゆらと10回。腰まわりをやさしくほぐします。
- 横向きになり、手で支えながらゆっくり起き上がります。立つ前にひと呼吸おいて、足踏みを5回してから歩き出します。
コツは「急がない」こと。電話やインターホンが鳴っても、走らない。冬の朝の身体は、エンジンのかかりが遅いものだと割り切ってあげてください。たった2〜3分の布団の中の体操が、一日のいちばんの安全対策になります。
Move fit 戸畑でできること
転びにくい身体の土台は、足の筋力とバランスの力です。Move fit 戸畑では、理学療法士が片足立ちや歩き方をチェックして、その方の弱い部分に合わせた運動をご提案します。リフォーマーなら、転ぶ心配のない寝た姿勢から、バランスに必要な筋肉を安全に鍛えられます。
毎週火曜13時からの体操教室(65歳以上対象・体験600円)でも、転倒予防の運動を取り入れています。「最近つまずきやすい」と感じたら、それは身体からの大事なサインです。一度、確かめにいらしてください。お待ちしています。