ストレスで胃にくるのはなぜ?――「肝」と胃腸の深い関係
大事な用事の前に食欲がなくなる。心配ごとがあると、みぞおちのあたりが重くなる。嫌なことがあった日は、胃がきりきりする——「ストレスは胃にくる」というのは、多くの方が身体で知っている実感ではないでしょうか。
4月は新しい環境や人間関係で、知らず知らず気を張る季節です。「最近、胃の調子がいまひとつ」という方が増えるのも、ちょうどこの時期。
気持ちの問題がなぜ胃に出るのか。今回は、その橋渡し役の話です。仕組みがわかると、対処の糸口も見えてきます。
胃腸は「リラックス担当」の神経が動かしている
消化という仕事は、自律神経のうちリラックス担当(副交感神経)が受け持っています。食べ物を待ち構えて胃液を出し、胃や腸を動かして消化を進める——これはすべて、心と身体が落ち着いているときに進む作業です。
ところが緊張やストレスがかかると、身体は戦闘担当(交感神経)に切り替わります。大昔、敵に出くわしたご先祖さまにとって、消化は後回しでよい仕事でした。血液は筋肉に回され、胃腸は店じまい。緊張すると食欲が落ちるのは、身体が「今は食べている場合じゃない」と判断しているからなのです。
困るのは、現代のストレスが「敵に出くわす一瞬」ではなく、何日も続く点です。胃腸が店じまいしたままでは、胃もたれ、食欲不振、胃の痛みが起こりやすくなります。
東洋医学では「肝が脾胃を攻める」と考えます
東洋医学にも、これとそっくりな考え方があります。ストレスや怒りの影響を最初に受けるのは「肝(かん)」という、気の流れの交通整理役。そして消化を担当するのが「脾胃(ひい)」です。
肝がストレスで渋滞を起こすと、行き場を失った気が隣の脾胃に流れ込み、その働きを乱す——これを昔の人は「肝が脾胃を攻める」と表現しました。ストレスがたまるとため息が出たり、げっぷやお腹の張りが増えたりするのも、滞った気が出口を探しているサインと捉えます。職場にたとえるなら、隣の部署がぴりぴりしていると、こちらまで仕事が手につかなくなるようなものです。ストレスで胃が痛むという現代の実感を、二千年前の医学はすでに言い当てていたわけです(東洋医学の考え方の基本は入門の回をどうぞ)。
この見方に立つと、胃だけをいたわるのではなく、おおもとの肝の渋滞、つまりストレスで滞った気の流れをゆるめることが大切だとわかります。
自宅でできること:食前の深呼吸と「よく噛む」
食事のたびに、胃腸を「リラックスモード」へ切り替えてから食べる習慣です。
- 食卓についたら、食べ始める前に、鼻から4秒吸って口から8秒かけて吐く深呼吸を3回します。
- 最初のひと口は、いつもの倍、30回を目安によく噛みます。
- 食事中はテレビの心配なニュースや難しい話題を避け、ながら食べをやめて味に集中します。
- 食後は5分でよいので、すぐ動かずゆったり座って過ごします。
コツは「食前の3回の深呼吸」だけでも続けること。ゆっくり吐く息はリラックス担当の神経のスイッチで、胃腸に「店を開けていいよ」と知らせる合図になります。
あわせて、軽い散歩や趣味の時間など、気持ちの風通しをよくする習慣も胃腸の味方です。ストレスそのものをゼロにはできなくても、ためこむ前に少しずつ逃がす工夫はできます。
Move fit 戸畑でできること
Move fit 戸畑の鍼灸では、胃の症状そのものだけでなく、背景にある気の渋滞——緊張で張りつめた首・肩・背中やお腹の硬さ——を確かめながら、全身の巡りを整える施術を行います。鍼やお灸でふっと身体がゆるむと、「そういえば、ずっと気を張っていたんだ」と気づかれる方も少なくありません。ストレスと胃の悪循環を断つお手伝い、初回体験500円から始められます。