背中が丸くなってきた?――背骨のしなやかさを取り戻す
ふと鏡やショーウィンドウに映った自分の姿に、「あれ、こんなに背中が丸かったかな」とどきっとしたことはありませんか。
家族の写真の隅に写った自分の横姿、洋服の背中まわりがきつくなった感じ——。背中の丸まりは、本人がいちばん気づきにくく、まわりからは意外とよく見えている変化です。「最近、小さくなった?」と言われて、はっとした方もいるかもしれません。
でも、がっかりするのはまだ早い。背中が丸く見える原因の多くは、骨そのものの変形ではなく、背骨の「動きのかたより」です。そして動きは、何歳からでも取り戻す練習ができます。今回は、姿勢の土台になる背骨のしなやかさのお話です。
背骨は一本の棒ではなく、24個の骨の「連なり」
背骨というと一本の太い棒を想像しがちですが、実際は椎骨(ついこつ)という小さな骨が24個、積み木のように連なってできています。骨と骨の間にはクッション(椎間板)があり、それぞれがほんの少しずつ動く。自転車のチェーンのように、小さな動きの集まりで、全体として大きくしなる——これが背骨の理想の姿です。
ところが、長年の姿勢のクセや運動不足で、よく動く場所とサボる場所の差が広がってきます。動かない部分が増えると、チェーンの一部が錆びついたのと同じで、しなりは失われ、よく動く一部分にだけ負担が集中する。背中の丸まりは、こうした「動きの貧富の差」の表れであることが多いのです。
丸まり姿勢のとばっちりは、呼吸・首・腰へ
背中が丸まると、困るのは見た目だけではありません。まず呼吸。胸がつぶれた姿勢では肋骨が広がりにくく、息が浅くなります。深呼吸したいのに胸いっぱい吸えない感じは、丸まり姿勢とセットで現れがちです。
次に首。背中が丸まると、顔が前へ突き出ます。約5kgの頭を斜め前で支えることになり、首や肩の筋肉は常に綱引き状態。しつこい首こり・肩こりの土台に、背中の丸まりが隠れているケースは非常に多いのです。
そして腰。背中の上のほうが動かない分、おじぎや振り向きのたびに腰が肩代わりして余計に動かされ、負担がたまります。腰だけをもんでも楽になりきらないとき、本当の原因が背中にあった——ということも珍しくありません。つまり背骨のしなやかさを取り戻すことは、呼吸・首・腰、三方への投資なのです。
「年だから」とあきらめるのは、まだ早い
「もう年だから、姿勢は戻らない」と思っていませんか。たしかに、骨そのものが変形している場合、形を元に戻すことはできません。けれど多くの方の丸まりには、筋肉のこわばりと、動かしていないことによる「動きの忘れ」が大きく混ざっています。この部分は、年齢に関係なく、練習で取り戻せる余地があるのです。
実際、背中の動きの練習を続けるうちに「身長が伸びた気がする」「歩くとき前が見やすくなった」とおっしゃる方は少なくありません。何歳からでも、できることはあります。大切なのは、硬い場所を無理に反らせることではなく、サボっている場所をやさしく起こしてあげることです。
自宅でできること:やさしいキャット&カウ
背骨を一つずつ目覚めさせる定番の運動が、四つばいで行う「キャット&カウ(猫と牛のポーズ)」です。やさしい版をご紹介します。
- 四つばいになります。手は肩の真下、膝は股関節の真下。手首や膝が痛む方は、クッションを敷くか、椅子の座面に手をついて立って行ってもかまいません。
- 息を吐きながら、おへそをのぞき込むように、背中を天井へゆっくり丸めます(猫のポーズ)。
- 息を吸いながら、今度は胸を前へ開き、背中をゆるやかに反らせます(牛のポーズ)。反らしすぎず、気持ちよい範囲で。
- この往復を、ゆっくり5〜8回。朝晩1セットずつが目安です。
コツは、速く大きく動かすことではなく、「尻尾から頭へ、骨を一個ずつ順番に動かすつもり」で行うこと。波がゆっくり伝わるイメージです。痛みが出る範囲では行わないでください。骨粗しょう症と言われている方は、丸める動きを控えめに、主治医に相談のうえで行いましょう。
Move fit 戸畑でできること
リフォーマー(ピラティス専用マシン)は、まさに「背骨を一つずつ動かす」練習のために生まれたような道具です。バネの補助と抵抗を使うと、自己流では動かしにくい背中のサボっている部分に、ねらいを定めて動きを呼び覚ますことができます。Move fit 戸畑では、理学療法士があなたの背骨のどこが硬いかを確かめたうえで、マンツーマンでレッスンを組み立てます(マシンの紹介はリフォーマーの回をどうぞ)。
「丸まってきた背中、なんとかしたい」と思ったときが始めどきです。体験は600円。背中が伸びると、呼吸も視界も気持ちも変わります。鏡の中の後ろ姿、一緒に変えていきましょう。