ごちそう続きの年末年始、胃腸をいたわる知恵
忘年会、クリスマス、年越しそばに、おせちとお雑煮。年末年始は、一年のうちでいちばん「ごちそう」が続く、にぎやかな季節です。
楽しい食卓は何よりの薬。でも、松の内が明ける頃になると、「胃が重い」「身体がだるい」「顔がむくむ」「なんだか眠りも浅い」——そんな声が、私たちのもとにも一気に増えてきます。
実はこれ、別々の不調ではありません。出どころをたどると、多くが同じ場所に行き着きます。働きづめで残業続きの、胃腸の疲れです。今回は、ごちそうの季節を楽しみながら上手に乗り切るための、昔ながらの胃腸いたわりの知恵のお話です。
胃腸の疲れは、だるさ・むくみ・眠りにまで響く
食べた物の消化には、想像以上のエネルギーが使われます。食後に眠くなるのは、血液が消化のために胃腸へ集まるから。ごちそうが朝昼晩と続けば、胃腸は休憩なしの工場のようなもので、身体のエネルギーは消化に取られっぱなしになります。「食べているのにだるい」のは、燃料切れではなく、消化への過剰投資が一因なのです。
さらに、処理しきれない飲食は、東洋医学でいう「余分な水気」となって身体にたまり、むくみや重だるさのもとになると考えられてきました。お酒や塩分の濃い料理が続いた翌朝、顔のむくみや指輪のきつさに表れるのは、皆さんも一度は経験があるのではないでしょうか。
夜遅くの食事は、眠りにも影響します。寝ている間も胃腸が残業していると、身体は休息モードに入りきれず、眠りが浅くなりがち。「食べてすぐ寝ると休まらない」という昔ながらの言い伝えには、ちゃんと理屈があるのです。
東洋医学の知恵①「腹八分目」は最高の胃腸ケア
「腹八分目に医者いらず」。誰もが知るこの言葉は、東洋医学の養生の柱でもあります。胃腸という工場に、処理能力の8割だけ仕事を渡す。すると消化はスムーズに進み、エネルギーの余りが身体の回復に回せる——という、とても合理的な知恵です。
とはいえ、ごちそうを前に腹八分目は難物。コツは「満腹を感じてから箸を置く」のではなく、「最初から八分目を盛る」ことです。小さめの皿に取り分ける、おかわりは一呼吸おいてから、よく噛んでゆっくり食べる。満腹の信号が脳に届くには20分ほどかかるといわれます。早食いほど食べすぎるのは、このタイムラグのせいです。
「せっかくのごちそうを残すのは申し訳ない」という気持ちも分かります。そんなときは、無理に食べ切らず、翌日の楽しみに取っておく。胃腸をいたわることも、作ってくれた人への立派な礼儀だと考えてみてください。
東洋医学の知恵②「温かい物から先に」食べる
もうひとつの知恵が、食べる順番です。東洋医学では、胃腸は冷えに弱い働き者と考えます(東洋医学入門の回でも紹介しました)。冷たいビールや刺身から始めるより、温かい汁物をまず一杯。かまどに火を入れてから調理を始めるように、胃腸を温めて準備運動をさせてあげると、そのあとの消化が進みやすくなります。
宴会の席でも、お椀や温かいお茶から手をつける。鍋料理の日はしめしめ、と思う。それだけで、翌朝の胃の重さがずいぶん違ってきます。お酒の合間に温かいお茶や白湯をはさむのも、胃腸と肝臓いずれにもやさしい飲み方です。
自宅でできること:食後の「足三里」ケア
胃腸の働きを後押しするツボの代表が「足三里(あしさんり)」。膝のお皿の外側のくぼみから、指4本分下にあります。俳人の松尾芭蕉が旅の養生にお灸をすえたと伝わる、由緒あるツボです。
- 椅子に座り、膝のお皿の下、外側のくぼみを見つけます。そこから指4本分下、すねの骨のやや外側が足三里です。
- 親指をツボに当て、「気持ちいい」と感じる強さで5秒押して、ゆっくり離します。
- 左右それぞれ5回ずつ。食後30分ほど経ってから行うのがおすすめです。
- 冷えを感じる日は、ここに市販の台座灸でじんわり温熱を加えるのもよい方法です(やけどには十分ご注意を)。
コツは、強く押しすぎないこと。ごちそうの予定がある日は「食後の足三里」をセットにする、と決めておくと続けやすくなります。
Move fit 戸畑でできること
Move fit 戸畑の鍼灸では、舌やお腹の状態から胃腸のお疲れ具合を読み取り、足三里をはじめとするツボで消化の働きを後押しする施術を行います。食べ方や過ごし方のご相談も一緒にどうぞ。理学療法士による運動を組み合わせれば、食べた分をきちんと動かせる身体づくりまでサポートできます。
鍼灸の初回体験は一律500円、訪問にも対応しています。がまんではなく、知恵で乗り切る年末年始へ。胃腸をいたわりながら、おいしい季節を楽しみましょう。