くしゃみでヒヤッ――誰にも聞けない骨盤底筋の話
くしゃみをした瞬間、ヒヤッとした。大笑いした拍子に、あっと思った。縄跳びや小走りは、実はそっと避けている——。
もし思い当たっても、どうか恥ずかしいと思わないでください。咳やくしゃみなどでお腹に力が入った拍子に起きる尿もれは、年齢を重ねた女性にも、出産を経験した方にも、そして男性にも起こる、とてもありふれた身体の変化です。ただ、あまりに「誰にも聞けない」話題なので、一人で抱え込んでいる方が多いだけなのです。
今日は、その鍵を握る「骨盤底筋(こつばんていきん)」のお話を、まじめに、品よくお届けします。
骨盤底筋は「骨盤の底のハンモック」
骨盤は、上半身と下半身をつなぐ骨の器です。その器の底に、ハンモックのように張られた筋肉の膜があります。これが骨盤底筋。膀胱や腸などの内臓を下から支え、同時に、出口をきゅっと締める係も務めています。
このハンモックは、加齢や出産、運動不足、慢性的な咳、姿勢のくずれなどで少しずつ張りを失っていきます。ハンモックがゆるむと、支える力と締める力が弱まり、くしゃみのような「急にお腹の圧が高まる瞬間」に出口を締めきれなくなる——これがヒヤッの正体です。仕組みが分かれば、対策もできる。そう捉えていただきたいのです。
むしろ心配なのは、「人前で笑うのが怖い」「水分を控えてしまう」「外出先のトイレの場所ばかり気にする」と、行動が縮こまっていくことのほうです。外出や運動を避けると筋力が落ち、身体はますます不利になります。だからこそ、こっそりでよいので、ケアを始めていただきたいのです。
ピラティスの呼吸と骨盤底筋は、名コンビ
骨盤底筋は、実は呼吸と深くつながっています。息を吐くとき、お腹の奥のコルセットのような筋肉と一緒に、骨盤底筋も自然に引き上がる連動があるのです。
ピラティスが骨盤底筋のケアに向いていると言われるのは、まさにここ。ピラティスは「吐く息」を大切にする運動で、呼吸と一緒に身体の奥の筋肉を呼び覚ましていきます。腹筋運動のように外側の筋肉で頑張るのではなく、呼吸の連動を使って、奥のハンモックをそっと引き上げる練習ができるのです(体幹の深い筋肉の話は腰痛と体幹ピラティスの回もどうぞ)。
この練習のよいところは、道具も場所もいらないことです。テレビを見ながらでも、バスを待ちながらでも、誰にも気づかれずに取り組めます。
自宅でできること:息を吐きながら「締める」練習
- 椅子に浅めに座り、背筋をすっと伸ばします。左右のお尻の骨で均等に座る感覚です。
- 鼻からゆっくり息を吸います。お腹と骨盤まわりはリラックス。
- 口から細く長く吐きながら、トイレを途中でがまんするときのように、骨盤の底をきゅっと締めて引き上げます。
- 吸う息でふわっとゆるめます。「吐いて締める、吸ってゆるめる」を10回、1日2セット。
コツは、お尻や太ももに力が入らないこと。外側の大きな筋肉が頑張ると、肝心のハンモックが働けません。「誰にも気づかれない静かな運動」が正解です。締める感覚が分からない場合も、焦らなくて大丈夫。呼吸の練習から始めれば少しずつつかみやすくなります。
そして、焦らず続けることです。骨盤底筋は身体の奥にある小さな筋肉ですから、変化はゆっくり訪れます。数週間から数か月単位の気長なお付き合いと心得て、歯みがきの後にやる、と決めてセットにすると忘れにくくなります。
Move fit 戸畑でできること
Move fit 戸畑では、理学療法士が呼吸と姿勢を確かめながら、骨盤底筋の連動を引き出すピラティスをマンツーマンでご案内します。リフォーマーを使うと、寝た姿勢で骨盤を安定させたまま呼吸と連動の練習ができるので、感覚がつかみにくい方にも取り組みやすいのが利点です。
デリケートな話題だからこそ、こっそり真剣に取り組める場所を。呼吸の確認だけでも、最初の一歩として十分です。体験は600円。一人で抱える時間を、今日で区切りにしませんか。「実はね」と、小さな声でご相談ください。