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COLUMN #26 | ピラティス

呼吸が浅いと疲れやすい――横隔膜という縁の下の力持ち

2026年10月23日 | 執筆:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師)| Move fit 戸畑(北九州市戸畑区)
呼吸が浅いと疲れやすい――横隔膜という縁の下の力持ち

「特に病気はないのに、なんとなく疲れやすい」「階段の途中で、はあはあと肩で息をしてしまう」。そんな心当たりはありませんか。

疲れやすさの原因はいろいろありますが、意外と見落とされているのが呼吸の浅さです。人は一日に約2万回も呼吸をしています。その一回一回が浅いと、身体に取り込める酸素が目減りし、それを補おうと呼吸の回数が増え、首や肩の筋肉まで総動員——気づかないうちに、呼吸だけで疲れてしまうのです。

今回の主役は、呼吸を支える縁の下の力持ち、「横隔膜(おうかくまく)」という筋肉のお話です。

横隔膜は「膜」ではなく、立派な筋肉

横隔膜は、肋骨の内側で胸とお腹を仕切っている、ドーム型の大きな筋肉です。「膜」という名前がついていますが、実体は腕や脚と同じ、れっきとした筋肉。焼肉屋さんでいう「ハラミ」がこれにあたります。

息を吸うとき、横隔膜はぐっと下がって胸の空間を広げ、肺に空気を呼び込みます。吐くときはゆるんで元のドーム型へ。ちょうど注射器のピストンのような働きで、呼吸の仕事の大部分をこの筋肉が引き受けています。

ところが筋肉である以上、横隔膜も使わなければ衰えます。動きが小さくなると、ピストンの引きしろが浅くなり、一回の呼吸で入る空気が減る。その分を補うために、本来は補助役である首や肩の筋肉が頑張りはじめます。これが「肩で息をする」状態。肩こりと呼吸の浅さがセットで現れる方が多いのは、このためです。

呼吸が浅くなると、困りごとは疲れやすさだけにとどまりません。深くゆっくりした呼吸は、心と身体を落ち着ける自律神経のスイッチでもあります。浅く速い呼吸が続くと、身体はずっと軽い緊張モードのまま。「なんだか気持ちが休まらない」「寝つきが悪い」という不調の裏に、呼吸の浅さが隠れていることもあるのです。

また、しっかり吐く力は、声の張りや、食べ物を飲み込んだあとのむせを防ぐ咳の力にもつながっています。呼吸を鍛えることは、暮らしのあちこちに効いてくる「基礎工事」のようなものだとお考えください。

姿勢が悪いと、横隔膜は動けない

横隔膜の働きを邪魔するもうひとつの犯人が、姿勢です。背中が丸まり、お腹がつぶれた姿勢を想像してください。横隔膜は下がりたくても、つぶれたお腹がつかえて十分に下がれません。蛇腹のアコーディオンを、折りたたんだまま弾こうとするようなものです。

逆に、背すじがすっと伸びると、横隔膜は上下にのびのび動けるようになります。「よい姿勢」と「深い呼吸」は、いわば二人三脚。どちらかが整うと、もう一方も自然と整いやすくなります。

ちなみに、大きな声で歌うこと、おしゃべりして笑うことも、立派な横隔膜の運動です。カラオケや友人との長話のあとに気分がすっきりするのは、知らず知らず深い呼吸をしていたから、という面もあるのです。

さらに横隔膜は、体幹を内側から支える「天然のコルセット」の一員でもあります。深い呼吸の練習は、疲れにくさだけでなく、腰やお腹の安定にもつながる——一石二鳥どころか三鳥の運動なのです(体幹のお話は腰痛と体幹の回でも紹介しています)。

自宅でできること:仰向けの腹式呼吸

横隔膜のトレーニングは、道具いらず。寝たままできます。

  1. 仰向けに寝て、両膝を立てます。片手を胸に、もう片方の手をお腹に軽く置きます。
  2. 鼻からゆっくり息を吸い、お腹の手が持ち上がるのを感じます。胸の手はあまり動かないのが理想です。
  3. 口を軽くすぼめ、吸った時間の倍くらいかけて、細く長く吐き切ります。風船をゆっくりふくらませるイメージです。
  4. これを5回で1セット。朝起きたときと寝る前に行いましょう。

コツは「吸う」より「吐く」を丁寧に。しっかり吐き切ると、次の息は自然に深く入ってきます。慣れてきたら、椅子に座った姿勢でも試してみてください。

最初は「お腹で吸う感じが分からない」という方も多いのですが、それで普通です。お腹に置いた手の重みを感じながら続けるうちに、少しずつコツがつかめてきます。寝る前に行うと、気持ちが静まって眠りに入りやすくなるおまけつきです。

こんな方におすすめ:疲れやすくなったと感じる/ため息が増えた/肩こりがなかなか抜けない/声が小さくなったと言われる方。

Move fit 戸畑でできること

ピラティスはもともと「呼吸の運動」と呼ばれるほど、呼吸を大切にする運動です。Move fit 戸畑では、リフォーマー(ピラティス専用マシン)を使い、姿勢を整えながら深い呼吸を引き出すレッスンを、理学療法士がマンツーマンで行います。バネの補助があるので、体力に自信のない方でも安心です。

「自分の呼吸が浅いのかどうか分からない」という方も、まずは一度チェックにいらしてください。体験は600円です。一日2万回の呼吸が少し深くなるだけで、日々の疲れ方は変わってきます。階段の上り下りが前より楽に感じられる——そんな変化を、一緒に目指しましょう。

からだの不安、一度プロに相談してみませんか?

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