春はなぜ眠い?――「春困」というだるさの話
「春眠暁を覚えず」と言いますが、それにしても眠い。朝起きてもだるさが残る、午後はまぶたが重くて仕方ない——4月に入ると、当店でもそんなお話をよく伺うようになります。
「冬の疲れが出たのかな」「年のせいかな」と片づけてしまいがちですが、春の眠気には、ちゃんとした理由があります。中国には昔から「春困(しゅんこん)」という言葉があり、春に人がだるくなるのは大昔から知られた現象でした。仕組みがわかれば、付き合い方も見えてきます。
身体は冬から春へ「衣替え」の真っ最中
冬の身体は、熱を逃がさないよう血管を締めてエネルギーをためこむ「省エネモード」で動いています。春になると、これを活動モードへ切り替える作業が始まります。いわば身体の中の衣替えです。タンスの入れ替えに丸一日かかるように、身体の衣替えにも何週間という時間と、思いのほか大きな労力がかかります。
この切り替えを担当しているのが自律神経(体温や血管などを自動調節してくれる神経)です。ところが春は、昼は汗ばむのに朝晩は冷える、きのうは初夏できょうは冬戻り、という寒暖差の激しい季節。自律神経は一日に何度も暖房と冷房を切り替えるような忙しさで、すっかり疲れてしまいます。春のだるさの正体の多くは、この「切り替え疲れ」です。
そこへ、年度替わりの環境の変化や人付き合いの気疲れが重なります。陽気で血管がゆるみ、頭がぼんやりしやすいことも加わって、眠気の役者が勢ぞろいするのが4月なのです。
すぐにできる対策のひとつは、服装で寒暖差の負担を減らすこと。脱ぎ着しやすい羽織りものを一枚持ち歩き、スカーフなどで首もとを冷やさないだけでも、自律神経の切り替え仕事はずいぶん楽になります。身体の衣替えが終わるまで、外側の衣替えはゆっくりで構いません。
東洋医学では、春は「のびのび」の季節
東洋医学では、春は草木が芽吹くように、身体の中の気(エネルギー)も上へ外へとのびやかに動き出す季節と考えます。この流れの交通整理をするのが「肝(かん)」という働き。我慢やストレスが続くと流れが渋滞し、だるさ・イライラ・眠りの乱れとして現れやすくなります。
ですから春の養生の合言葉は「早寝早起き、のびのび動く」。約二千年前の医学書にも、春は少し早起きしてゆったり歩き、心をのびやかに保つように、という意味の教えが残っています。食べものでは、菜の花や山菜などのほろ苦い春野菜が、昔から春の身体に良いとされてきました。旬のものをよく噛んでゆっくり味わうことも、立派な養生です。家にこもって寝だめするより、軽く動いて気を巡らせるほうが、結果として眠気は抜けやすいのです。昔の知恵は、現代の自律神経の話と驚くほど重なります(自律神経と東洋医学の回もどうぞ)。
自宅でできること:朝の太陽光+大きな伸び
体内時計を朝型に整える、いちばん手軽なスイッチが「朝の光」です。
- 起きたらまずカーテンを開け、窓辺で1分、外の光を浴びます。曇りでも効果はあります。
- 光を浴びながら、両腕を頭の上へ伸ばして大きく「伸び」を3回。背すじが伸びて、あくびが出たら大成功です。
- 余裕のある日は、朝食後に10〜15分の散歩を。少し大股で、遠くを見ながら歩きます。
- 夜は布団でのスマホを控え、いつもより15分早く寝てみます。
コツは、眠気をやる気で追い払おうとしないこと。朝の光と軽い運動で身体のリズムのほうを整えると、日中の眠気は自然と薄れていきます。春の身体の衣替えが終わる5月ごろには、目覚めの軽さが変わってくるはずです。
Move fit 戸畑でできること
Move fit 戸畑の鍼灸は、忙しく働きすぎた自律神経をいたわり、気の巡りを整えることを得意としています。鍼灸師が脈やお腹、肩や首の張り具合からその日の状態を確かめ、お一人おひとりに合わせたツボを選んで施術します。「だるさの正体がわからないまま我慢している」——そんな春こそ、鍼灸の出番です。初回体験は一律500円。春の身体の衣替えを、私たちにお手伝いさせてください。