春はそわそわ、ゆらぐ季節――自律神経と上手につきあう
3月に入ると、不思議とこんな声が増えます。「なんだか眠りが浅い」「気持ちがそわそわして落ち着かない」「頭が重くて、やる気が出ない」。
検査をしても異常はない。でも、確かに調子が悪い。もしあなたがいま同じ状態なら、それは気のせいでも怠けでもありません。春は、身体の自動調整係である自律神経が一年でいちばん揺れやすい季節なのです。
今日は、その仕組みと、東洋医学が伝えてきた「春ののびのび養生」のお話です。
三寒四温は、自律神経の「残業」シーズン
自律神経とは、体温・血圧・心拍・眠りなどを24時間自動で調整してくれる神経のこと。活動モードのアクセル(交感神経)と、休息モードのブレーキ(副交感神経)が、シーソーのように切り替わって働いています。
春の気候は、暖かい日が続いたかと思えば冬に逆戻りする「三寒四温」。気温が乱高下するたび、自律神経は体温調整のためにアクセルとブレーキを忙しく踏み替えます。さらに3月から4月は、年度替わりで生活や人間関係の変化も重なる時期。環境の変化への対応も、自律神経の仕事です。つまり春の自律神経は、残業続きの働きづめ。だるさや眠りの乱れは、その疲れのあらわれと考えると合点がいきます。
加えて春は、気圧の変化も大きい季節です。天気が崩れる前に頭が重い、古傷がうずく、と感じる方がいるように、気圧のゆらぎも自律神経の仕事を増やします。「天気の悪い日に調子が出ない」のは気の持ちようではなく、身体が頑張って調整している証拠なのです。
東洋医学では、春は「肝」の季節
東洋医学では、春は「肝(かん)」の季節とされてきました。ここでいう肝は、西洋医学の肝臓そのものではなく、気(エネルギー)を身体じゅうにのびのび巡らせる係のこと。草木が上へ外へと芽吹く春は、人の気も同じように伸びやかに動き出す季節と考えられています。
ところが、この伸びようとする気がストレスや我慢でせき止められると、イライラ、ため息、頭が重い、眠りが浅い、といった「巡りの渋滞」のサインが出やすくなる——これが東洋医学の見立てです。だから春の養生の合言葉は「のびのび」。昔の養生書にも、春は「早寝早起きをして、ゆったりした服を着て、のびのび歩きなさい」とあります。締めつけず、ため込まず、ゆったり身体を動かして気を巡らせる。何百年も前の知恵ですが、自律神経の話と驚くほど重なります(詳しくは自律神経と東洋医学の回をどうぞ)。
自宅でできること:朝の「のびのび3分」
- 起きたらまずカーテンを開けて、朝の光を浴びます。身体の時計の針が合い、自律神経のリズムが整いやすくなります。
- 両手を組んで頭の上へ。息を吸いながら、背伸びをするように全身をぐーっと伸ばします(3回)。
- 鼻から4秒吸って、口から8秒かけて細く吐く深呼吸を5回。吐く息を長くするのがブレーキ役を助けるコツです。
- 余裕のある日は、5〜10分の散歩を。景色を眺めながらの「ゆっくり歩き」で十分です。
コツは、頑張る運動にしないこと。春の養生は「ゆるめる・巡らせる」が主役です。きつい運動でアクセルを踏み込むより、気持ちよさを優先してください。
「春になるといつも調子を崩す」という方は、これで自分を責める材料がひとつ減ったはずです。季節のせいにしてよいのです。そのうえで、眠り・光・呼吸・散歩を少しだけ整える。それが、頑張らない大人の春支度です。
Move fit 戸畑でできること
Move fit 戸畑の鍼灸は、自律神経の揺れからくる首肩のこわばりや頭の重さ、眠りの浅さといったご相談をお受けしています。鍼とお灸のじんわりした心地よさは、ブレーキ役の神経が働きやすい時間をつくるお手伝いです。理学療法士によるゆったりした運動と組み合わせれば、「巡らせる」養生を二方向からサポートできます。
初回体験は一律500円、訪問にも対応しています。眠りや気分のことも、施術の中で遠慮なくお聞かせください。身体がゆるむと、心も少しゆるみます。ゆらぐ春こそ、身体をいたわる口実にしてしまいましょう。