ぎっくり腰はくしゃみでも起きる――予防と、なってしまった時の話
重い荷物を持ち上げた瞬間に、腰に電気が走る——ぎっくり腰というと、そんな場面を思い浮かべる方が多いと思います。ところが実際にお話を伺うと、「くしゃみをしただけ」「洗面台で顔を洗おうとして」「靴下をはこうとして」という方が、驚くほど多いのです。
たいしたことをしていないのに、なぜ。そう思うと不安になりますが、仕組みがわかれば、予防のしどころも、なってしまった時の正しい過ごし方も見えてきます。
今回は、ぎっくり腰が「ささいな動作」で起きる理由と、直後の対処、そして再発させないためのお話です。
引き金は小さくても、火薬は前から溜まっている
ぎっくり腰は、正式には「急性腰痛」。腰の筋肉や関節、靱帯などが急な負担で傷んで起きると考えられています。ポイントは、引き金と原因は別ものだということです。
長年の疲労、運動不足、同じ姿勢の続く生活で、腰まわりの筋肉にはじわじわと硬さと疲れが溜まっていきます。これが火薬です。そこへ、くしゃみの瞬間的な腹圧、前かがみのひとひねり、といった小さな火花が飛ぶ。火薬が溜まっていれば、火花がどんなに小さくても、ぎっくり腰は起きるのです。「くしゃみくらいで」と思うのは、火花だけを見て火薬を見ていないから、ともいえます。
起きやすいのは、前かがみの動作、朝の起きがけ、そして疲れている時期。朝は寝ている間に身体が固まり、筋肉の準備運動ができていない時間帯です。涼しくなって身体が冷えやすく、夏の疲れも残る9〜10月は、実は要注意の季節でもあります。ぎっくり腰がしばしば「忘れた頃」にやってくるのは、火薬の溜まり具合が自分では見えにくいからなのです。
なってしまったら――「安静にしすぎない」が今の常識
激痛の直後は、まず楽な姿勢で休みましょう。横向きでひざを軽く曲げ、エビのように丸くなると楽な方が多いです。ズキズキと熱を持つような最初の1〜2日は、タオルを巻いた保冷剤などで冷やすと痛みが落ち着きやすく、その後、強い痛みが峠を越えたら温めて血のめぐりを助ける——というのがおおまかな目安です。
そして大事なのが、ずっと寝て過ごさないこと。かつては「とにかく安静」と言われましたが、今では、痛みの許す範囲で日常の動きを続けたほうが回復が早い傾向にあることがわかっています。痛みをかばって固まった身体は、ますます動きにくくなるからです。トイレや食事など、できる範囲の動きはそろそろと続けましょう。多くの場合、痛みは数日から2週間ほどかけて少しずつ落ち着いていきます。
自宅でできること:再発させないための朝の習慣
- 朝、起き上がる前に布団の中で準備運動。あおむけで両ひざを立て、左右にゆっくり10回倒します。固まった腰の目覚まし体操です。
- 起き上がるときは、いったん横向きになってから手で押して起きる。あおむけから腹筋で起き上がるのは、朝の腰には重労働です。
- 洗顔や台所では「股関節おじぎ」を。腰を丸めて曲げるのではなく、お尻を後ろに引いて股関節から身体を倒すと、腰の負担がぐっと減ります。片手を洗面台につくのも有効です。
- くしゃみが出そうなときは、壁や机に手をついて、ひざを軽く曲げてから。これだけで腰に走る衝撃はずいぶん和らぎます。
どれも地味な工夫ですが、毎朝の積み重ねが「火薬」を溜めない身体につながっていきます。
Move fit 戸畑でできること
Move fit 戸畑の鍼灸では、強い痛みの時期には、硬くこわばった腰まわりの筋肉の緊張をゆるめ、痛みを和らげるお手伝いをします。ぎっくり腰を繰り返している方ほど、痛みが引いたあとのケアが肝心です。当店では理学療法士が姿勢や動き方のクセを評価し、腰を支える体幹の使い方を、ピラティスの考え方で無理なく育てていきます(腰痛と体幹の回もどうぞ)。
「鎮める鍼灸」と「育てる運動」をひとつの場所で続けられるのが、私たちの強みです。鍼灸の初回体験は一律500円、外出がつらい時期は訪問にも対応しています。「またやるかも」という不安ごと、一緒に手放していきましょう。